本阿彌光洲氏 重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定

 この度、当協会理事長の本阿彌光洲(刀剣研磨)が重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されましたのでご報告致します。
 以下、文化庁の報道発表より抜粋。

※重要無形文化財の指定及び保持者の認定について

 文化審議会(宮田亮平会長)は、7月18日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、別紙の通り重要無形文化財及び保持者の認定について文部科学大臣に答申しましたのでお知らせします。

刀剣研磨
 本阿彌道弘 (雅号 本阿彌光洲)
 「刀剣研磨」は,昭和50年4月23日に重要無形文化財に指定されていたが,平成22年3月22日,保持者の逝去により指定が解除された。今回,改めて指定するとともに,本阿彌氏をその保持者として認定するものである。
(1) 重要無形文化財の指定について
① 名称
   刀剣研磨
② 重要無形文化財の概要
 刀剣研磨は,刀剣の姿を整形し,地鉄や刃文を研ぎ出して完成させる技法である。刀剣研磨の歴史は,我が国の刀剣類の歴史的変遷にほぼ併行し,刀剣の切れ味を良くするためのみならず,その美的な要素を追求することによって,室町時代以来大いに発達した。明治時代には本阿彌平十郎成重によって,地鉄部分を青黒く,刃を白く際立たせる,仕上げ研ぎの方法が確立された。
 現代刀の研磨の工程は,刀剣の姿を整形する下地研ぎと,地鉄・刃文を研ぎ出し,切先まで完璧な形に整える仕上げ研ぎの工程から成る。刀剣研磨は,現代の刀匠が鍛造した刀剣を美術刀剣として完成させるために不可欠な技法である。また,各時代に製作された刀剣の状態を整え,本来あるべき姿で保存するためにも重要な技法である。以上のように,刀剣研磨は,芸術上特に価値が高く,工芸史上特に重要な地位を占める技法である。
(2)保持者の認定について
① 保持者
  本阿彌道弘(雅号本阿彌光洲) 生年月日 昭和14年4月26日(満75歳)
  住 所 東京都
② 保持者の特徴
 同人の刀剣研磨は,現代の刀匠の個性を尊重し,その作風に合わせて見どころを強調しながら,各工程を丁寧に進め,それぞれの刀剣の美点を最大限に活かして完成させるものとして,高い評価を得ている。また,古刀から新々刀に至る各時代の刀剣の特質を捉えた研磨にも優れている。
③ 保持者の概要
 同人は,昭和14年東京都に生まれ,同37年から父・本阿彌猛夫(雅号 本阿彌日洲 ,重要無形文化財「刀剣研磨」(各個認定)保持者)に師事し,室町時代より日本刀の研磨等を生業としてきた同家に伝わる伝統的な刀剣研磨の技法を高度に体得した。同人は,現代の刀匠によって鍛造された刀剣を研磨し,優れた日本刀を世に送り出すとともに,国宝・重要文化財等に指定された数多くの刀剣の研磨を手掛け,有形文化財の保存にも寄与している。
 同人は,その優れた研磨技術が評価されたことにより,昭和46年に研磨技術等発表会(現 刀剣研磨・外装技術発表会)無鑑査となった。その後,刀剣に関する豊かな見識を生かし,平成5年以降,刀剣研磨・外装技術発表会をはじめ,新作刀展覧会(現 新作名刀展),お守り刀展覧会,新作日本刀刀職技術展覧会など,刀剣に関する多くの公募展の審査員を歴任した。また,同12年以降,美術刀剣研磨技術保存会 会長,公益財団法人日本刀文化振興協会理事長などの要職にあって,後進の指導・育成に尽力している。
 以上のように,同人は,刀剣研磨の技法を高度に正しく体得しており,かつ,これに精通している。