日本刀発見手続き

 日本刀は「銃砲刀剣類所持法」により、各都道府県の教育委員会が行っている「銃砲刀剣類登録審査会」によって登録の基準を満たし、「銃砲刀剣類登録証」(登録証)が交付された刀剣は、誰でも所持することが許されています。

〝ご先祖が持っていた刀が、家で見つかったのですが、どうすればよろしいですか?〟
〝所有していた家族が亡くなり、持っていた刀はどうすればよいか教えてください〟
〝以前は興味がなかったのですが、最近、先祖が持っていた刀が家にあることが判り、今後、どのようにすれば所持できるのか教えてください〟などのお問い合わせを頂くことが増えました。

 私たちは日本刀を大切な日本の伝統技術に裏付けされた美術品・芸術品として扱い、さらに後世に残していきたいと考えています。皇室の「三種の神器」の一つに剣があるように、日本では古代より邪気を払うお守り刀として大切にされてきた文化が有り、武家社会ではれっきとした格式の高い「贈答品」として扱われてきた歴史も有名なお話しです。
もちろん歴史的に武器として存在したことも事実でありますが、現在、一般に残っている「日本刀」(長い刀や短い短刀など、大小を問わず)は、時の所有者が大切にしていたからこそ、長い戦乱の時代をも生き延び、現在にも残って入るのではないでしょうか?
(過去より神社仏閣に対しての奉納刀が寄進され、現在も多数存在することなどからも如何に大切にされてきたか)

そこで、冒頭のご質問に対してのお答えですが、①まず、見つけられた・家にある「日本刀」(長い刀や短い短刀など、大小を問わず)に、「銃砲刀剣類登録証」(登録証)が付いているか確認してください。その登録証がありましたら、そのまま所持できます。但し、所有者の変更届などが必要かと思いますので、登録証に記載の教育委員会の刀剣担当者に電話してご相談ください。
(地元の教育委員会の代表に電話して〝刀剣(日本刀)ご担当の方に、伺いたいことがあるのでお繋ぎください〟と言えば繋いでいただけるでしょう)
その際、手元に登録証を用意し、登録番号をお伝えしてお話しになると良いでしょう。
②次に、登録証が見当たらない場合。この場合も、まず地元の教育委員会の刀剣担当者に電話して事情をお話ししてご相談ください。
判らなければ当協会にお気軽にお電話ください。ご説明いたします03-5249-4440
その際、大事なことは、見つかった「日本刀」は、場所を動かさずそのままの状態に置いておくこと。勝手に動かさないようにご注意を。

※(東京都の例)
銃砲刀剣類を発見したとき|東京都教育委員会ホームページ (tokyo.lg.jp)

その後は、教育委員会の刀剣担当者のアドヴァイスを参考に進めていくと良いでしょう。
通常は、その後、警察での「発見届け」処理などを経て、最終的には各都道府県教育委員会の「銃砲刀剣類登録審査会」に現物と必要書類を持ち込み(※登録証が無い代わりに「発見届」を持っていれば、審査会に持ち込むことが出来る、ということです)、登録の基準を満たしたものには「銃砲刀剣類登録証」(登録証)が交付されます。審査日(1~3ヶ月に1回程度)は各教育委員会により異なります。審査日程など詳細は各都道府県教育委員会にお問い合わせください。
 この登録制度は戦後、戦時中に作られた無鍛錬の刀〈昭和刀・軍刀〉と歴史的価値のある美術刀剣とを区別し、戦後進駐軍による刀剣の没収から、美術品としての刀剣を守り、合法的に所持できるように出来た法律です。よって戦時中に作られた無鍛錬の刀剣や刃文の無いもの(いわゆる武器扱い)には登録証は発行されず、その刀身は残念ながら破棄されることになります。またそれ以前に製作された古い刀剣でも刃文がなく美術品として認められない刀剣も同様の扱いになります。
但し,戦時中に製作された刀剣でも美術品として認められたものには登録が許されます。
例えば、拵(こしらえ:即ち刀身が入っている鞘のこと)は軍刀仕立てであっても、刀身は以前製作された家伝のものなど美術品として認められたものにも登録が許されます。
 戦後この制度が始まってから70年以上経過していることから、現在では「銃砲刀剣類登録証」(登録証)が付いていた可能性がある場合は,その刀の特徴を全国照会し、全国の登録原票の中から該当の刀剣が見つかった場合、登録審査員の判定により再交付される場合があります。

参考)注意事項
・刀剣類は、登録審査を受けるまでは研ぎに出さないでください。
※要は、発見したらそのままにしておいてください!ということ。
・発見届取扱上の留意事項(警察の立場として下記の留意事項があります)
(1) 善良な発見届出人に無用の迷惑をかけないよう、その取扱いに十分の考慮を払うこと。
(2) 提示を受けた刀剣類は、貴重な美術品である場合もあることを念頭に置き、慎重に取り扱うこととし、刃渡り、目くぎ穴又は銘文の確認のためにこしらえを外すことが困難なときは、無理に外そうとしないこと。
(3) 登録の希望については、発見届出人の意思を尊重して、登録に該当するか否かの判断をしないこと。
(4) 刀剣類は、一時預かりの措置をしないようにすること。ただし、必要やむを得ないときは、この限りでない。
(5) 発見届は、発見の状況が分かる責任ある者が発見者に代わって届出することも差し支えない。
(6) 発見・届出をした刀剣類であっても、登録を受けなければ他人に譲渡できず、登録以外の目的で所持した場合は違法となるため、その旨を発見・届出人に教示すること。
(7) 都道府県教育委員会と連携し、発見届出後に登録審査を受けないもの又は登録審査の結果、登録にならなかったものについては、廃棄又は公立博物館等への寄贈の意思を確認するなど所要の措置を講じること。
※「銃砲刀剣類発見届取扱要領」の詳細はネット上で公開されています。

◎各地の教育委員会で無事「銃砲刀剣類登録証」が発行されたら!
 せっかく「登録証」が取得できた刀です。これからはサビ等が発生しないように研磨などを実施して、末永く大切にされることをお勧めいたします。
きっと見つけられた「御刀」も喜ぶはずです。
 当協会では、公益財団法人として専門の研師などが、研磨や手入れ・保存方法などについてご相談を承ります。
〝登録が済んだ刀は、今後はどうしておくのが良いのか?〟
〝研磨や白鞘製作費用はどのくらいするのか?〟等
もちろん、教育委員会に相談される前の〝問い合わせ〟でも結構です。
ご相談者様の立場に立って、お答えいたしますので気軽にメールや電話・FAXでお問い合わせください。
【お問い合わせ先】
公益財団法人日本刀文化振興協会 事務局
〒115-0044 東京都北区赤羽南2丁目4番7号 鷹匠ハイツ301
電話:03-5249-4440
FAX : 03-5249-0065
Email:tbk@nbsk-jp.org

・・・お問い合わせ頂いた方からの声です(一部抜粋)・・・

「・・・父が亡くなり大切にしていた刀のことが気になりましたが、最初、刀に興味も無く、誰に何を訊いてよいか判らず検索し御協会に行き着き電話したところ、親切に教えて頂きありがとうございました。刀に対する認識が変わりました。これも父が残した刀のご縁かと思います。以下略」
―女性―

「発見届のことで、警察に訊く前に貴協会に電話して、発見届の仕組みについて教えて頂けたので、安心して警察署に電話することが出来ました。ありがとうございました。日本刀の意味を教えて頂き日本刀に対する見方が変わりました。これから、我が家のお守り刀として大切に受け継いで参ります。以下略」
―男性―

「昨年は、登録に関するアドヴァイスをいただきありがとうございました。無事、神奈川の登録が取れましたので、その後ご紹介いただきました研師の○○様に研磨を依頼したところ、見違えるように刀が生き返りました。また、その時「刀の鑑賞の仕方と手入れ方法」も教えて頂きました。やはり本物の日本刀を自分で所有してみて初めて感じることがあり、日本刀に対する見方が変わりました。大切にしていきます。以下略」
―男性―

「・・・とにかく貴協会に最初に電話して良かったと思います。あやうく間違った情報で刀をダメにするところでした。」
―男性―

「今回、軍刀の意味がよく判りました。お訊きして良かったです。ありがとうございました。以下略」
―女性―