【日本刀の匠展】開催趣旨
展覧会公益財団法人 日本刀文化振興協会
このたび、三年ぶりに明治神宮宝物殿にて「日本刀の匠展」を開催させていただく運びとなりました。
刀剣は、神話の時代より現代に至るまで、日本文化の根幹を成すものとして、脈々と受け継がれてまいりました。世界に類を見ない、第一代神武天皇から第百二十六代今上陛下に至るまで連綿と続く皇位の象徴として、三種の神器(剣・勾玉・鏡)が伝えられていることは、その証左と申せましょう。
しきしまの 大和心を みがかずば
劔おぶとも かひなからまし
この御製は、明治三十七年に明治天皇が詠まれたものです。
―いかに剣を鍛え身につけようとも、大和心を磨かねば真の価値はない―
そのような御心が込められており、明治天皇がいかに日本人の精神性を重んじておられたかを窺い知ることができます。
明治天皇は、常に刀を身近に置かれ、ご覧になっていたとの逸話が残されております。明治の四十五年間、日本は飛躍的な発展を遂げ、世界に並ぶ近代国家としての礎を築きました。その中心には、国のため、国民の幸福のために祈られた明治天皇の大御心がありました。国歩多難の折、ご政務の合間に刀をご覧になり、御製を詠まれたその御心に、現代に生きる私たちも深く思いを致したいものであります。
本展覧会は、「明治天皇と日本刀」を主題とし、現代の刀職者による作品展示を通じて、日本刀文化への理解と関心を深めていただくことを目的としております。明治天皇とゆかりの深い刀剣を、明治神宮という由緒ある場にてご紹介できることは、刀剣界のみならず、国内外の皆様にとりましても意義深いものと存じます。
大正十年に竣功した宝物殿の空間は、まるで百余年前に時を遡ったかのような趣を湛えております。どうぞ、その歴史的な空気の中で、匠の技が生み出した作品の数々をご堪能ください。
