ごあいさつ

 昨年秋には、当協会主催の「明治天皇110年祭並びに明治天皇御生誕170年記念【日本刀の匠展】」を開催し、期間中3千名を超す皆さまにご来場頂くことが出来ました。これはとりもなおさず、今まで当協会の活動にご理解ご支援をいただきました会員の皆さま、愛刀家の皆さま、刀職者の皆さま、刀剣商の皆さま、そして純粋に日本刀の世界を知りたいという一般の皆さまなど多くの支援者のお陰であります。 当協会も公益財団法人の認定を頂いてから14年目の新しい事業展開となり、この間積み重ねてきた信用の賜と改め心より御礼申し上げます。
 私たちには今、何よりも文化および芸術の振興を目的とし、不特定かつ多数の利益の増進に寄与する「公益事業」を担っていくことが、強く求められています。私たちは日本刀を通して、それを推進します。そのために、刀職者に対する研修会を開催し伝統的な刀職技法を伝授して参ります。
 日本刀は近年、海外においても高い評価を受けており、その比類なき価値を享受する機会が熱望されています。伝統や遺産を守ることのみに固執せず、内外の期待には積極的に応えていきたいと考えます。その一環として昨今「現代刀」における偽物が出回り国内外を問わず問題化している現状に鑑み、各界より現代刀の真物であることの証明をして欲しいとの要請応え、公益財団として『新作日本刀証明証』発行を行っております。お陰様でこちらも浸透してきており刀剣商の皆さまに限らず一般の愛刀家の皆さまからも発行依頼が来ております。年を追うごとに、この意義が増してきております。
 日本刀はかつて日本の文化そのものであり、日本人の魂を映す鏡でありました。私たちは、日本刀を通して文化や人々の心が豊かになることを願い、ここに「日本刀文化」の振興を提唱します。そのために公開鑑賞会の開催、新作日本刀 研磨 外装 刀職技術展覧会の開催などを通して、直接「日本刀」に触れ、感動し「日本刀」を身近に感じてもらう機会を作っております。日本刀文化とは、わが国の歴史の中で培われてきた知的財産であり美風であるとともに、高い精神性を持った世界でもあります。本物の日本刀だけが持つ良き伝統と文化を継承しつつ、併せて時代に適応する日本刀の新しい価値を創造し、広く世界に向けて訴求し「人類の宝」としていくことが、今に生きる私たちの責務であると確信します。
 志ある多くの方々と、ともに手を携えて日本刀文化の振興に取り組みたく、引き続きご理解ご支援のほど宜しくお願いいたします。

令和5年 1月
会長 柳井 俊二