ごあいさつ

ごあいさつ

 令和6年(2024年)は、日本刀文化を海外に広報する重要な年となりました。11月にはセルビア共和国の首都ベオグラードにて「日本サムライアート展~日本刀の美~」を開催し、12月には台湾支部の設立に伴い、東呉大学との日台文化交流協力締結式および開幕式を実施しました。
 本年は、6月7日から「第15回新作日本刀 研磨 外装 刀職技術展覧会」を、また10月31日からは3年ぶりとなる明治神宮宝物殿での展覧会を予定しております。
 現在注目を集めている日本刀ブームを一過性のものに終わらせず、さらに深く掘り下げ、広く正確に日本刀文化を伝える努力を続けたいと考えております。お陰様で、多くの皆様から御刀の研磨・修理、未登録刀の発見届の方法などについての問い合わせを頂いております。
 私たちには、文化および芸術の振興を目的とし、不特定かつ多数の利益の増進に寄与する「公益事業」を担うことが求められています。日本刀を通じて、これを推進して参ります。そのために、刀職者への研修会を開催し、伝統的な刀職技法を伝授いたします。
 日本刀は近年、海外でも高い評価を受け、その比類なき価値を享受する機会が熱望されています。伝統や遺産を守るだけでなく、内外の期待に積極的に応えたいと考えております。その一環として、「現代刀」における偽物の問題に対処するため、公益財団法人として『新作日本刀証明証』を発行しております。これにより、刀剣商や一般の愛刀家からも発行依頼を頂いており、年々その意義が増しております。
 日本刀はかつて日本の文化そのものであり、日本人の魂を映す鏡でした。私たちは日本刀を通じて文化と人々の心を豊かにすることを願い、「日本刀文化」の振興を提唱します。「公開鑑賞会の開催」や「新作日本刀 研磨 外装 刀職技術展覧会」を通じて、直接日本刀に触れ、日本刀を身近に感じてもらう機会を提供しております。
 日本刀文化は、日本の歴史の中で培われた知的財産であり美風であり、高い精神性を持った世界です。本物の日本刀が持つ良き伝統と文化を継承しつつ、時代に適応する新しい価値を創造し、広く世界に向けて訴求し「人類の宝」としていくことが、今を生きる私たちの責務であると確信しております。
 志ある多くの方々と共に、日本刀文化の振興に取り組んで参りたいと存じます。引き続き、ご理解ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

令和7年1月
会長 柳井 俊二