この度新たな試みとして当協会では、第1回「特別公開部門“Sword Oshigata Art”部門」を開設することになりました。最古の刀剣書と言われる「観智院本銘尽」には、茎(なかご)の形や鑢目の絵図が記されており、いわゆる「押形」の祖型とみることもできます。
その後、時代とともに刀身の形や銘ぶり、刃文などの特徴が実物により近く描写されるようになり、今日では刀身そのものに紙を当て、輪郭と銘文・鑢目を手拓し、刃文は墨絵や鉛筆で細密に描くなど、写真などとは異なる、正確な資料として作成され、巻物や書籍に活用されています。
「押形」“Oshigata”は国内外でよく知られています。「押形」は今や単なる資料としての価値にとどまらず、手法による違いはあるものの、その表現には描く人のセンスや高い技術、芸術性が認められています。その目的もさまざまで、自分が作った作品や研磨した名刀を記念として手元に残すためや、愛刀の記録を子孫に残すためなど、実に多くの方々が「押形」製作を続けていることがわかっています。
しかし、これまで自慢の「押形」が公開される場はほとんどありませんでした。
展示では、日本刀を多くの方々により深くご理解いただくための相乗効果も期待しており、刀剣の世界には「押形」という文化があるということをあらためて認識していただく機会ともなるものです。
つきましては、奮ってご応募くださいますようお願い申し上げます。
1、名称は「特別公開部門“Sword Oshigata Art”部門」とする。
※この部門は「刀職技術者展覧会」とは異なる手続き(出品申込書・出品票)で扱われます。
2、会場、会期、受付、審査の日程は第7回「新作日本刀 研磨 外装 刀職技術展覧会」と同様とする。
3、審査申込手続き
① 「特別公開部門“Sword Oshigata Art”部門」専用の別紙「審査申込書」に必要事項を記載の上、3月30日(水)までに当協会宛、FAXまたは添付メールで送付のこと。申込者には当協会より、4月8日ごろまでに出品表・審査料振込用紙を送付する。
② 作品に所定の出品表が添付されていない場合は受け付けられないことがある。
4、応募の留意事項等
① 下記条件を満たす作品であれば、応募資格は問わない。ただし、申込者以外の人物によるものや、下記条件を満たさないものは受け付けないこととする。
② 国宝・重要文化財指定品、重要美術認定品の押形は、出品を認めない。
③ 実在する刀剣類の押形であること。また、それが確認できる刀身の写真を添付すること。その刀剣類を同時に展示することもできる(ただし刀剣類には銃砲刀剣類登録証原本を添付すること)。
④ 第7回「新作日本刀 研磨 外装 刀職技術者展覧会」の作刀部門・研磨部門・刀身彫刻部門に出品の刀を題材とすることを認める。
⑤ 全身押形を必須とし、部分押形は認めない。表裏の輪郭と茎の手拓、刃文の描写を行うこと。茎はインク・石華墨・複写紙など、いずれの使用も可。刃文描写は硬筆・毛筆いずれでも良い。コピーやプリントは受け付けない。
⑥ 用紙は手漉きまたは機械漉きの和紙で、掛け軸表装かパネル表装とすること。作品の任意の箇所に、出品者名または雅号、製作年月日を明記すること。
⑦ 今回に限り、製作時期が過去10年以内であれば、審査対象とする。次回より製作時期は出品条件として検討する。
⑧ 厳正な審査を経て、優秀な作品数点を表彰する。
⑨ 出品は1人1作品に限り、出品料は当協会会員・非会員共に10,000円とする。
5、その他
① 入選以上の作品で「鉄の展示館」の展示趣旨に沿うものは会期中展覧する。
② 優秀な作品は図録に掲載する予定。