令和5年度「刀職者実技研修会」開催報告

 本年も坂城町中心市街地コミュニティセンターで「刀職者実技研修会」を8月26日から3日間にわたり開催致しました。今年も好評で、プロ・セミプロ・初心者の刀職者及び刀職従事希望の皆様にご参加頂き、真剣な中にも、職種の垣根を越えて一同に会ずる研修として大いに実りあるものとなりました。
 中には将来、「刀鍛冶」希望の高校生に参加頂くなど、公益財団法人として今後引き続き人材育成にも寄与していきたいと考えております。(講師9名・研修生28名・その他研修補助員が参加)
 また「坂城町鉄の展示館」の一般の来館者にも研修の様子を自由に見学して頂き、刀職の世界をより身近に感じて頂けたかと思います。

作刀部門

研磨部門

白鞘部門

白銀部門

柄巻部門

彫金部門

【研修生の感想】 彫金部門―男性― 長年日本に住んでいますが、日本に住んでいてもこうしてこんなに近くで日本の伝統工芸品や技術を見ることは貴重ですし、また実際に体験できることはなかなかないので、非常に貴重な経験をさせていただきました。 また、浮世絵の中でしか見られないような、それぞれの専門を持つ職人の方々が並んでいる光景も見られて感激でした。 私は今回彫金の研修を受けさせていただきましたが、他の専門の先生方の研修も近くでされていましたので、横や後ろなど目の届く範囲で先生方が手を動かしている姿が見え、また時には話も伺うことができ、参加していないコースの先生方であっても質問すると丁寧に答えていただけ様々な知識を増やすこともできましたので、非常にありがたい経験となりました。 みなさん伝統工芸や刀の世界は堅苦しい世界かと思いがちかもしれませんが、先生を始め参加者の方々も非常にフレンドリーで親切に交流していただけ、人との出会いで自分の社交の輪も広くすることができたので非常に有意義な時間を過ごすことができました。 この度は、本当にこのような経験をさせて頂きありがとうございました。また来年の研修も楽しみにしております。 彫金部門―女性― 刀職従事有無/経験に関わらず参加出来て有り難かった。 普段の作業状況に近しい環境を提供いただき、集中して講習を受けることが出来た。 他の参加者方の研修内容も大変参考になった。 白銀部門―女性― 沢山あった疑問が次々と解決し、知らないことを知るたびに面白くて仕方ありませんでした。そのため、先生を質問攻めにしてしまいましたし、他の部門の見学があまりできませんでした。それくらい充実していました。視野が狭くなってしまいましたが、事務局や講師の皆さんが一般の見学の来館者の対応や道具などの問題にすぐに対応してくださり、安心して自分の作業に打ち込むことができました。あまり他の見学はできませんでしたが、刀に関わる仕事のほとんどが1つの場所に集まり、俯瞰できたのも大きな勉強になりました。 白銀部門―男性― 長年参加させていただいておりますが、他の研修生へのご回答・ご指導が私にとりましても大変勉強になり、自分がこれまで見えてこなかった「気づき」の機会となっております。皆で集まっての意見交換も大変勉強になり、私にとって大きく前進できた三日間となりました。コロナ過の山は越えたと云うものも、ご指導いただく先生方を始め、事務局の皆様、会場展示館の皆様の準備や運営のご苦労につきまして、本当に感謝申し上げる次第です。今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。 研磨部門―男性― 今回初めて研ぎの研修台に座りましたが、とても丁寧に作業をご教示いただき、楽しく作業工程を学ぶことができました。加えて、自分が参加した職種のみならず、他の先生方、研修生の方々とも交流ができ、貴重なご縁をいただけたことも刀職を志す上で、大変有意義でした。いろいろな職方さまから、一度にお話を伺える希少な機会をいただき、誠にありがとうございました。 柄巻部門―女性― 2日間の参加でしたが、しっかり研修させていただきました。初めての作業でしたが少しずつ巻き方が出来て大変楽しかったです。周囲の方も良い方ばかりで前向きに取り組めました。 白銀部門―男性― 研修開始前・開催後と何度となくお電話もいただき、より多くのことを学べるようにとの心遣いをいただきました。ご自宅工房へも〝機会があるようならば、ぜひお越しください〟とのお言葉もいただき、大変ありがたく恐縮している次第です。今年度の受講生は、例年以上に熱心な受講姿勢で、講師の先生は満足な休憩もできずじまいであったかと存じます、本当にありがとうございました。 研磨部門―男性― 見て技を盗め、と云うのが常の職人の世界で、研ぎ場での姿勢から刀の固定、動かし方まで懇切、丁寧にご教示いただき、大変感謝しております。また、最高峰の研師の先生の作業を至近距離で拝見することができ、正しい研ぎのイメージを最初に印象づけられたことで、とても心強いスタートを切ることができました。研修中のみならず、今後作業を進めていく環境についても、親身になって相談に乗っていただき、自宅でも少しずつ進められそうで、希望が持てた研修会でした。重ね重ね、至れり尽くせりでありがとうございました。 白鞘部門―男性― 質問への回答も分かりやすく非常に勉強になりました。他部門の先生方も垣根のない雰囲気で相談がしやすく、それが和気あいあいとした研修の要因になったと感じています。 柄巻部門―女性― とても気さくな方で、研修の内容も様子を見ながら進めてくださり無理なく楽しく受講出来ました。 作刀部門―男性― 今回、研修の最初に刀鍛冶の現状とその厳しさについて飾ることも誇張もなく語っていただいたときに、日本刀文化がなくなってほしくないと自分の中でより強く再認識ができました。それと同時に宮入一門の努力と苦労を感じ、自分なりに今後どのように日本刀に関わり、貢献できるのかより考えるようになりました。現時点では日本刀を購入及び使う側のままでいるのか、日本刀の製作側として携わりたいのか答えはまだ出ておりませんが、いずれにせよ大好きな日本刀に関わって生きていこうと思っています。